「気づいたら、同じ語尾が続いている」
「もっと大人っぽい文章を書きたい」
こんなふうに思ったことはないでしょうか?
日本語はカタカナ・漢字・ひらがなを使い分ける奥深い言語です。そのため日本人でも上手に使うのは大変なのかもしれませんね。
今回はそんな日本語のなかでも「文末」の種類や意味、使い方について分かりやすく解説します。
文末に変化をつけられるようになると、文章が格段に上手く見えるのでぜひお試しください!
文末に工夫がない文章の読みにくさ
文末とは、文章の最後にくる「です」や「ます」などの語尾のことで、これを意識せずに書くと読みにくい文章になってしまいます。
単調な文末だと読みにくいのは、文章を読むときに私たちは心のなかで音読しているからです。
例えば以下のような文章があったとしましょう。
私の趣味は読書です。毎月、本屋に行って新しい本をチェックするのが日課です。
今月は気になる本が8冊もあったので、週に2冊ずつ読んでいくつもりです。
今月も忙しくなりそうです。
話の流れは自然ですし、このままでも意味は伝わりますが、音読すると何となく疲れませんか?
一方、同じ文章で文末に変化をつけた例が以下です。
私の趣味は読書です。日課として、毎月本屋で新しい本をチェックしています。
今月は気になる本が8冊もあったので、週に2冊ずつ読まないといけません。
今月も忙しくなりそうです。
内容の良しあしはともかく、
- スラスラ読める文章
- 「多忙な読書家」のイメージが浮かぶ文章
になったのではないでしょうか?
このように少し文末を変えるだけで、文章はぐんと読みやすくなるのです。
文末は大きく分けると2種類
日本語の文末は大きく分けて、
- 常体と呼ばれる「だ・である調」
- 敬体と呼ばれる「です・ます調」
の2種類で、それぞれ次のような特徴を持っています。
文末種類 | 意味 | 使用シーン |
「だ・である」 (常体) | 硬い、冷たい、 説得力がある | 新聞、論文 |
「です・ます」 (敬体) | 柔らかい、優しい、丁寧 | コラム、ブログ |
どちらを使うかは場合によって異なりますが、読みやすい文章にするポイントは以下の2つです。
- 常体か敬体のどちらかに統一すること
- 文末に変化をつけること
実際に文章を書くときには、基本を踏まえた「マイルール」を決めるとよいかもしれません。
私の場合、
- 二回連続で同じ文末にならないようにする
- 基本的に敬体で書く(敬体のほうが文末を変えるのが難しく、勉強になるため。)
と自分に課しています。
このように自分にとって「少しだけキツイかな」くらいのルールを決めて、表現力を磨いていきましょう。
基本の文末パターンは5つ
日本語の文末は意味によって、さらに次のようなパターンに分かれます。
- 断定
- 丁寧
- 推量
- 疑問
- 否定
まずは「だ・である調」の文末表現と使用例がこちらです。
意味 | 文末 | 使用例 |
断定 | だ/なのだ | ・私の趣味は読書だ。 ・私の趣味は読書なのだ。 |
丁寧 | である | 私の趣味は読書である。 |
推量 | だろう | 彼の趣味は読書だろう。 |
疑問 | か | 彼の趣味は読書だろうか? |
否定 | ない | 私の趣味は読書ではない。 |
常体(だ・である調)の文末パターン
つぎに 「です・ます調」の表現と使用例を見てみましょう。
意味 | 文末 | 使用例 |
断定 | です | ・私の趣味は読書です。 ・私の趣味は読書なのです。 ・こうして私の趣味は読書になったわけです。 |
丁寧 | ます | 私は読書を趣味にしています。 |
推量 | でしょう | 彼の趣味は読書でしょう。 |
疑問 | ですか/ますか/でしょうか | 彼の趣味は読書でしょうか? |
否定 | ません | ・私の趣味は読書ではありません。 ・私の趣味が読書なわけありません。 |
例えば仕事でクライアントから「です・ます調で」と指定されると、最初はルールに沿おうとするあまり「ですます以外使えない!」と考えてしまうものです。
ですが単語の意味ごとに考えてみると、思ったよりバリエーションがあると思いませんか?
また上記の基本パターン「ですます」に、ひとひねり加えると……
- 念押し
「です(よ)ね」
- 予定
「~ところです 」
「~つつあります 」
「~こう(よう)としています 」
「くる(なる)はずです」
- 伝聞・推察
「そうです」
「ようです」
「だそうです」
「とのことです」
「~とされています」
このように使用シーンが広がります。
まずはよく使う「ですます」に、少しずつ「でしょうか」や「ましょう」を入れてみるのがおすすめです。(「ません」はインパクトが強いので、隠し味程度に!)
少しの工夫でメリハリのある文章になるので、よければお試しください。
基本をマスターして読みやすさアップ
今回は文章の文末表現について、意味や使用例などをざっくりと解説してみました。
つい同じ文末ばかり使ってしまう……という方は、まずはこの基本の5つをマスターしてみてはいかがでしょうか?
次回は応用編として、「文章にリズムをつけるコツ」について考えてみたいと思います!